本態性血小板血症なら大阪の血液内科太田クリニック

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本態性血小板血症

01.どんな病気?

本態性血小板血症(ET)は血小板が過剰に作られて血栓症や出血を引き起こす骨髄増殖性腫瘍(MPN)の仲間です(MPNについては前項参照)。ETにおいても真性多血症と同じJAK2遺伝子変異がみられることが多いですが(約50~60%)、他にもCALR遺伝子(約35%)、MPL遺伝子(数%)などに変異が見られます。
ETでは真性多血症と同様に脳梗塞や心筋梗塞などの血栓症をきたしやすく、JAK2遺伝子変異が陽性の場合は特にその傾向が強くなります。
ただし、血小板が高くなりすぎると(概ね ≦ 150万/μL)、止血に重要な役割を果たすフォン・ヴィレブランド因子の活性が低下して逆に出血しやすくなる場合もあります。
きちんと管理されたETの予後は良好ですが、放置すれば重大な血栓症や出血を合併して後遺障害を残すだけでなく、生命にかかわることもあります。その他、頭痛、めまい、耳鳴などもETによくみられる症状です。

02.治療について

ETの治療の重要な目的は血栓症や出血を予防することです。
血栓症リスクが低い場合(年齢 < 60才、かつ血栓症の既往なし)は、無治経過観察が原則ですが、JAK2遺伝子変異が陽性の場合や他の心血管リスク(喫煙、高血圧、脂質異常症、糖尿病など)がある場合には、低用量アスピリンの使用が検討されます。
ただし、血小板数が高すぎる場合(100万/µL以上)では、バイアスピリンによって出血リスクが高まる可能性があるので、まずは細胞減少療法によって血小板数を減少させてからバイアスピリンを開始することが検討されます。
一方、血栓症リスクが高い場合(年齢 ≧ 60才、または、血栓症の既往あり)には、低用量アスピリンに加えて細胞減少療法(少量の抗がん剤で血球を直接減少させる治療)が実施され、血小板数を40-60万/µLにコントロールします。細胞減少療法にはヒドロキシウレア(ハイドレア®)が多く用いられますが、ヒドロキシウレアには二次発がんや催奇形性の懸念もあるので,特に若い方への使用は慎重になる必要があります。このため、特に若年者の場合はアナグレリド(アグリリン®)が使用される場合もあります。

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